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~海外市販後安全性臨床試験と米国のReal World Evidence~
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等については、製品情報(電子添文等)をご参照ください。
本データには投与量、剤型などの記載が論文中になく日本の承認外用量が含まれている可能性があります。ORAL Surveillance試験(A3921133試験)の補助データとし、安全性の注意喚起を目的として掲載しています。
原著論文として学術雑誌に掲載され、査読を受けた試験成績です。
▶ 3部:トファシチニブにおける悪性腫瘍アウトカム:日常診療の関節リウマチ患者を対象としたトファシチニブにおける安全性試験の結果(STAR-RA試験)
海外データ
観察、後ろ向き研究、米国縦断コホート研究
目的
トファシチニブの海外市販後安全性臨床試験(ORAL Surveillance試験:A3921133)の結果から、トファシチニブ投与を受けた関節リウマチ(RA)患者において悪性腫瘍の安全性についての懸念が示されたことから、実臨床における悪性腫瘍の安全性を検討する。
対象
Optum Clinformatics(2012-2020年)、IBM MarketScan(2012-2018年)、Medicare(パートA、B、D、2012-2017年)の請求データベースの非識別化データを使用して、トファシチニブまたは腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ)による治療を開始したRA患者83,295例(うち、トファシチニブによる治療を開始した RA患者10,504 例)
患者はベースライン期間である365日間(7日以上365日未満)において、RAの診断コードを2つ以上必要とした。
方法
対象を(1)日常診療の患者からなる「リアルワールド エビデンス(RWE)-コホート」、(2)ORAL Surveillance試験の選択基準および除外基準を模した「無作為化比較試験(RCT)-複製コホート」の2つに分け、それぞれのコホートにおける悪性腫瘍イベントのリスクを比較した。
実際の最終データ収集日
2022年5月16日
主要評価項目
非黒色腫皮膚癌(NMSC)を除く複合的な新規悪性腫瘍アウトカム
副次評価項目
悪性腫瘍の種類別ハザード比(肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、リンパ / 血液がん、NMSC)。ポジティブコントロールは帯状疱疹とした。
解析計画
治療開始前の365日間と定義されるベースラインの共変量評価期間中に75の潜在的な交絡因子(MarketScanでは74)を評価した。標準化差(%)は、傾向スコア(PS)層別化加重前後の治療群 間の各共変量のバランスを評価した(10%未満)。
一次解析では、Cox比例ハザードモデルを用いて、PSによる層別化加重を用い、治療時曝露の定義を使用して潜在的交絡因子を考慮したハザード比(HR)および 95%信頼区間(CI)を推定した。加重を考慮した95%CIを算出するために、ロバスト分散推定を用いた。また、ポアソン回帰を用いてトファシチニブとTNF阻害剤を比較した場合の粗発現率、加重発現率の差および95% CIを評価した。効果推定値は逆分散加重を用いた固定効果モデルを用いて3つのデータベースを統合した。各治療群について複合悪性腫瘍アウトカムの累積発現率および95%CIを別々に検討した。
二次解析では、RWE- コホートにおいて年齢(65歳以下および65歳超)、性別に基づき、事前に指定したサブグループ解析を実施した。さらに、bDMARDsの前治療薬の種類(0種類と1種類以上)により層別化し、悪性腫瘍アウトカムのリスクを検討した。また、intention-to-treatの曝露定義を用いて、トファシチニブまたは TNF 阻害剤による治療を開始した患者を治療開始365日後時点で打ち切った。貪欲マッチングによる最近傍マッチングの置換なしを用いて、トファシチニブで治療開始した患者とTNF阻害剤で治療開始した患者に1:1PSマッチングを行った。RWE-コホートおよびRCT複製-コホートのTNF阻害剤群を、ORAL Surveillance試験で比較したTNF阻害剤群(アダリムマブおよびエタネルセプト)使用者に限定し感度分析を行った。
bDMARD(biologic disease-modifying antirheumatic drug)=生物学的製剤、CI(confidence interval)=信頼区間、HR(hazard ratio)=ハザード比、NMSC(nonmelanoma skin cancer)=非黒色腫皮膚癌、ORAL(Oral Rheumatoid Arthritis Trial)=ORAL試験、RA(rheumatoid arthritis)=関節リウマチ、PS (propensity score)=傾向スコア、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
† :治療開始前の365日間と定義されるベースラインの共変量評価期間中に75の潜在的な交絡因子(MarketScanでは74)を評価した。
‡:CVリスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
§ :TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
¶ :Medicareの患者は65歳以上である。
*:Centers for Medicare and Medicaid Servicesとのデータ使用契約により、11例未満の場合は実数を伏せている。
CV(cardiovascular)=心血管系、SD(standardized difference)=標準化差、std(standard deviation)=標準偏差、PS(propensity score)=傾向スコア、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
† :治療開始前の365日間と定義されるベースラインの共変量評価期間中に75の潜在的な交絡因子(MarketScanでは74)を評価した。
‡:CVリスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
§ :TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
¶ :Medicareの患者は65歳以上である。
*:指標薬を含む。
b/csDMARD(biologic/conventional synthetic disease-modifying antirheumatic drug)=生物学的製剤/従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬、CV(cardiovascular)=心血管系、RA(rheumatoid arthritis)=関節リウマチ、SD(standardized difference)=標準化差、std(standard deviation)=標準偏差、PS(propensity score)=傾向スコア、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
†:治療開始前の365日間と定義されるベースラインの共変量評価期間中に75の潜在的な交絡因子(MarketScanでは74)を評価した。
‡:CVリスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
§:TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
¶:Medicare の患者は 65 歳以上である。
CV(cardiovascular)=心血管系、RA(rheumatoid arthritis)=関節リウマチ、SD(standardized difference)=標準化差、std(standard deviation)=標準偏差、PS(propensity score)=傾向スコア、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA (Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
†:治療開始前の365日間と定義されるベースラインの共変量評価期間中に75の潜在的な交絡因子(MarketScanでは74)を評価した。
‡:CV リスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
§:TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
¶:Medicareの患者は65歳以上である。
CV(cardiovascular)=心血管系、SD(standardized difference)=標準化差、PS(propensity score)=傾向スコア、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)= STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
†:治療開始前の365日間と定義されるベースラインの共変量評価期間中に75の潜在的な交絡因子(MarketScanでは74)を評価した。
‡:CVリスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
§:TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
¶:Medicareの患者は65歳以上である。
CV(cardiovascular)=心血管系、SD(standardized difference)=標準化差、PS(propensity score)=傾向スコア、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)= STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
† :治療開始前の365日間と定義されるベースラインの共変量評価期間中に75の潜在的な交絡因子(MarketScanでは74)を評価した。
‡:CVリスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
§ :TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
¶ :Medicareの患者は65歳以上である。
*:Centers for Medicare and Medicaid Servicesとのデータ使用契約により、11例未満の場合は実数を伏せている。
COPD(chronic obstructive pulmonary disease)=慢性閉塞性肺疾患、CV(cardiovascular)=心血管系、SD(standardized difference)=標準化差、std(standard deviation)=標準偏差、PS(propensity score)=傾向スコア、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビ デンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
先ほどご紹介したORAL Surveillance試験(A3921133試験)の結果より、添付文書に記載されている内容は以下の通りです。
「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
STAR-RA試験(悪性腫瘍)において、主要評価項目であるNMSCを除く複合的な新規悪性腫瘍アウトカムのトファシチニブ群とTNF阻害剤群を比較した傾向スコア(PS)層別化加重Pooledハザード比は、RWE-コホート1.01(95%CI:0.83-1.22)、RCT-複製コホート1.17(95%CI:0.85-1.62)でした。
コックス比例ハザードモデルに基づく。
†:主要評価項目は、NMSCを除く複合的な新規悪性腫瘍アウトカムである。
‡:TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
§:Medicareの患者は65歳以上である。
¶:CVリスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
CI(confidence interval)=信頼区間、CV(cardiovascular)=心血管系、HR(hazard ratio)=ハザード比、NMSC(nonmelanoma skin cancer)=非黒色腫皮膚癌、PS(propensity score)=傾向スコア、 RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
主要評価項目である複合悪性腫瘍アウトカムにおけるトファシチニブ群とTNF阻害剤群を比較したそれぞれの粗発現率(100人・年あたりの発現件数)は、RWE-コホートのOptum1.68(95% CI:1.24-2.23)および1.36(95% CI:1.21-1.53)、MarketScan0.60(95% CI:0.39-0.90)および0.86(95% CI:0.74-0.98)、Medicare2.70(95% CI: 2.07-3.46)および2.49(95% CI:2.29-2.71)であり、Pooledでは1.74(95% CI:1.47-2.06)および1.71(95% CI:1.61-1.82)でした。
RCT-複製コホートでOptum2.41(95% CI:1.35-3.98)および2.01(95% CI:1.63-2.43)、MarketScan1.13(95% CI:0.54-2.08)および0.96(95% CI:0.72-1.25)、Medicare2.76(95% CI: 1.80-4.04)および2.31(95% CI:2.05-2.61)であり、Pooledでは2.23(95% CI:1.69-2.93)および2.00(95% CI:1.82-2.20)でした。
ポアソン回帰に基づく。
すべての推定値は、逆分散加重を用いた固定効果モデルによりプールした。
†:主要評価項目は、NMSCを除く複合的な新規悪性腫瘍アウトカムである。
‡:TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
§:Medicareの患者は65歳以上である。
¶:CVリスク因子には、喫煙歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性心疾患の家族歴が含まれる。
CI(confidence interval)=信頼区間、CV(cardiovascular)=心血管系、NMSC(nonmelanoma skin cancer)=非黒色腫皮膚癌、PY(patient-years)=人・年、RCT(randomized controlled trial)=無作為化比較試験、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より作成
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
主要評価項目のサブグループ解析であるRWE-コホートにおける複合悪性腫瘍アウトカムのトファシチニブとTNF阻害剤を比較した傾向スコア(PS)層別化加重Pooledハザード比は、女性の患者は0.93(95% CI:0.73-1.18)であり、男性の患者は1.21(95% CI:0.86-1.71)でした。
年齢65歳以下の患者は0.89(95% CI:0.63-1.24)であり、年齢65歳超の患者は1.08(95% CI:0.85-1.37)でした。
bDMARD使用歴ありの患者は0.81(95%:CI 0.60-1.10)であり、bDMARD使用歴なしの患者は1.22(95% CI:0.96-1.57)でした。
コックス比例ハザードモデルに基づく。
†:主要評価項目は、NMSCを除く複合的な新規悪性腫瘍アウトカムである。
‡:TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
§:18歳以上(Medicareは65歳以上)の患者
bDMARD(biologic disease-modifying antirheumatic drug)=生物学的製剤、CI(confidence interval)=信頼区間、HR(hazard ratio)=ハザード比、NMSC(nonmelanoma skin cancer)=非黒色腫皮膚癌、PS(propensity score)=傾向スコア、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
副次評価項目であるRWE-コホートにおける個々の悪性腫瘍アウトカムのトファシチニブとTNF阻害剤を比較したPooledデータの傾向スコア(PS)層別化加重ハザード比は、肺癌1.20(95% CI:0.77-1.87)、乳癌0.85(95% CI:0.53-1.38)、前立腺癌0.92(95% CI:0.51-1.67)、結腸直腸癌0.71(95% CI:0.33-1.56)、リンパ・血液がん0.91(95% CI:0.53-1.58)、非黒色腫皮膚癌(NMSC)1.15(95% CI:0.96-1.39)でした。
ポジティブコントロールの帯状疱疹のPooledデータにおける加重ハザード比(95%CI)は、2.02(1.80-2.27)でした。
ポジティブコントロールの帯状疱疹の Pooled データにおける加重ハザード比(95%CI)は、2.02(1.80-2.27)であった。
コックス比例ハザードモデルに基づく。
すべての推定値は逆分散加重を用いた固定効果モデルによりプールした。
†:TNF阻害剤群には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブが含まれる。
‡:18歳以上(Medicareは65歳以上)の患者
CI(confidence interval)=信頼区間、HR(hazard ratio)=ハザード比、NMSC(nonmelanoma skin cancer)=非黒色腫皮膚癌、PS(propensity score)=傾向スコア、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験、TNF(tumor necrosis factor)=腫瘍壊死因子
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022より改変
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
緒言
安全性試験「ORAL Surveillance」の結果、腫瘍壊死因子阻害剤(TNFI)と比較して、トファシチニブの悪性腫瘍のリスクが増加することが示唆されている。我々は さらに、関節リウマチ(RA)患者におけるこの安全性の懸念について、実臨床で検討した。
方法
Optum Clinformatics(2012-2020)、IBM MarketScan(2012-2018)、Medicare(パートA、B、D、2012-2017)の米国の保険請求データを用いて、トファシチニブまたは TNFI による治療を開始した RA 患者の 2 つのコホートを作成した。最初のコホート「リアルワールドエビデンス(RWE)」には、日常診療の患者を含めた。2つ目のコホート「RCT-複製コホート」は、ORAL Surveillance試験の包括・除外基準を模倣し、試験結果との比較可能性を評価した。傾向スコアによる層別加重を用いた Cox 比例ハザードモデルを使用して、あらゆる悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)のリスクに関するハザード比(HR)および 95%信頼区間(CI)を推定した。逆分散加重を用いた固定効果モデルを使用してデータベース固有の推定値を統合解析した。
結果
RWEコホートには 83,295 例の患者が含まれ、そのうち10,504 例(12.6%)がトファシチニブを開始した。主要評価項目であるTNFIと比較したトファシチニブのあらゆる悪性腫瘍アウトカムのpooled加重 HR(95% CI)は、RWEコホートでは1.01(0.83、1.22)、RCT-複製コホートでは1.17(0.85、1.62)であった(対ORAL
Surveillance 試験:1.48[1.04、2.09])。
考察
我々は、実臨床で治療を受けているRA患者において、TNFIと比較して、トファシチニブによる悪性腫瘍のリスク上昇を示すエビデンスは見いだせなかった。しかし、我々の結果は、治療期間の延長に伴って生じるかもしれないリスク増加の可能性を排除することはできない。
Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022
米国の3つの請求データーベース(Optum Clinformatics、IBM MarketScan、Medicare)の非識別化データを使用して、トファシチニブまたは腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤による治療を開始した日常診療の関節リウマチ(RA)患者を対象に、トファシチニブにおける悪性腫瘍アウトカムのリスクを検討した結果、主要評価項目であるTNF阻害剤と比較したトファシチニブのあらゆる悪性腫瘍アウトカムのpooled加重HR(95%CI)は、RWEコホートでは1.01(0.83、1.22)、RCT-複製コホートでは1.17(0.85、1.62)でした(対ORAL Surveillance試験:1.48[1.04、2.09] )。
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
JAK(Janus kinase)=ヤヌスキナーゼ、MTX(methotrexate)=メトトレキサート、ORAL(Oral Rheumatoid Arthritis Trial)=ORAL試験、RA(rheumatoid arthritis)=関節リウマチ、RWE(real-world evidence)=リアルワールドエビデンス(実臨床)、STAR-RA(Safety of TofAcitinib in Routine care patients with Rheumatoid Arthritis)=STAR-RA試験
1. Khosrow-Khavar, F. et al.:Arthritis Rheumatol 74(10):1648, 2022
2. Harnett, J. et al.:J Manag Care Spec Pharm 22(12):1457, 2016
3. Ytterberg, S. R. et al.:N Engl J Med 386(4):316, 2022
2,3の試験は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。
原著論文として学術雑誌に掲載され、査読を受けた試験成績です。
ゼルヤンツの承認用法・用量:通常、トファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与する。
添付文書に記載されている内容は以下の通り「悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。また、海外臨床試験(A3921133試験)において悪性腫瘍の発現頻度がTNF阻害剤に比較し本剤で高い傾向が認められたとの報告もあることから、悪性腫瘍の発現には注意すること。」
▶ 3部:トファシチニブにおける悪性腫瘍アウトカム:日常診療の関節リウマチ患者を対象としたトファシチニブにおける安全性試験の結果(STAR-RA試験)
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