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診断・検査

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1）問診・視診・触診

問診・視診・触診は、脱毛症診断の基本となります。診療のはじめに鑑別疾患を想起できるか否かは正確な診断の鍵となります1)。

問診・視診・触診のポイント1）

視診では、患者さんによっては、くぼみ、隆起、薄く脆いなどの爪の変化がみられること2）や、脱毛の影響を受けた部分の皮膚は、わずかに赤く見えることがあること3）から、爪や皮膚を確認することもあります。

1）大山 学：日臨皮会誌. 2021; 38(4): 611-617.
2）Mane M, et al.: Indian J Dermatol. 2011; 56(4): 407-411.
3）Pratt CH, et al.: Nat Rev Dis Primers. 2017; 3: 17011.

2）抜毛テスト
  • 抜毛テストは、脱毛症の診察時に必ず施行する検査です。
  • 抜毛された毛はダーモスコピー、顕微鏡を用いて可能な限り詳細に観察します。
  • 毛根部が先細りとなる漸減毛（pencil point hairs）、萎縮性の毛根を持つ成長期毛（dystrophic anagen hair；図）は、化学療法施行時など特殊な場合を除いて、円形脱毛症において典型的な症状です。
円形脱毛症急性期の抜毛テスト所見

毛根部に萎縮性変化をみとめる（dystrophic anagen hair）

大山 学：日臨皮会誌. 2021; 38（4）: 611-617.

3）ダーモスコピー
  • ダーモスコピーを用いて、毛と頭皮を観察することをトリコスコピーと呼びます。
  • 円形脱毛症では、①漸減毛あるいは感嘆符毛（tapering hairs、exclamation mark hairs） — 毛包破壊により急速に退行期・休止期に移行したため頭皮側が先細りとなった毛、②断裂毛（broken hairs）、③黒点（black dots）、④短軟毛（short vellus hairs）— 早期の再発毛、⑤黄点（yellow dots）などがみられます。特に漸減毛、感嘆符毛は診断学的意味が大きいとされています。

大山 学：日臨皮会誌. 2021; 38（4）: 611-617.

4）皮膚生検
  • 脱毛症において診断目的に皮膚生検をする機会は減少しています。
  • ダーモスコピーでは診断が困難な瘢痕性脱毛症などとの鑑別目的、あるいは点滴静注ステロイドパルス療法の適応となるような症例における病勢の把握などが実施対象となり得ます。

大山 学：日臨皮会誌. 2021; 38（4）: 611-617.

参考）血液検査他の毛髪疾患および脱毛を伴う全身性疾患と円形脱毛症を鑑別する必要があります。鑑別疾患には、全身性エリテマトーデス、第二期梅毒などがあり、血液検査が必要となる場合があります。脱毛を伴う全身性疾患の例
  • 全身性エリテマトーデス
  • 第二期梅毒
  • 甲状腺機能低下症

Messenger AG, et al.: Br J Dermatol. 2012; 166（5）: 916-926.

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2023年7月作成 LIT37N001A
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