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ゼルヤンツの長期投与試験(1041試験)と再審査報告書(PMS3年のデータ)

~海外市販後安全性臨床試験と米国のReal World Evidence~

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「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等については製品情報(電子添文等)をご参照ください。

第2部:ゼルヤンツ再審査報告書(PMS3年のデータ)<関節リウマチ>ゼルヤンツ錠5mg 再審査報告書(PMS3年のデータ):関節リウマチ本資材は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページに掲載の「ゼルヤンツ錠5mg 再審査報告書」に基づいております。本資材では、掲載内容に基づき文章表現は一切の改変をせず忠実に再現しています。本資材は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページに掲載の「ゼルヤンツ錠5mg 再審査報告書」に基づいております。本資材では、掲載内容に基づき文章表現は一切の改変をせず忠実に再現しています。RA 治療薬の有効性と安全性は、臨床試験/ 実臨床において検討されています。1,2

1.Choy,E.H.:Rheumatology(Oxford) 58(6):953,2019 2.Danese,S.et al.: Gut 68(10):1893,2019
3.Katkade,V.B.et al.:J Multidiscip Healthc 11:295,2018 4.Garrison,L.P.Jr.et al.:Value Health.10(5):326,2007
本試験は、ファイザー株式会社のスポンサーシップのもと実施されました。

特定使用成績調査の概要

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https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999034 (2024/7/5 参照)

副作用発現状況

本調査において、安全性解析対象集団は、本剤群の予定観察期間が6カ月間または3年間で、本剤の投与が少なくとも1回確認され、本剤の安全性評価が可能であった患者7,021例とした。なお、本調査は全例調査であり、安全性解析対象集団に「8mg/週を超えるMTX を3カ月以上継続投与」の条件を満たさない症例が含まれるため、安全性解析対象集団のうち、8mg/週を超えるMTX を3カ月以上継続使用しても、コントロール不良であった関節リウマチ患者4,574例を適合安全性解析対象集団とした。安全性解析対象集団及び適合安全性解析対象集団おける副作用発現割合及び発現件数は、それぞれ42.3%(2,972/7,021例)、5,311件及び41.6%(1,903/4,574例)、3,384件であった。本調査結果は、承認時までの国内第Ⅲ相長期投与試験における副作用発現割合87.0%(301/346例)を上回ることはなく、また、副作用の種類に著しい違いはなかったことから、安全性について特記すべき事項はないと考えた。

本調査における主な副作用の発現状況(MedDRA 基本語別で、安全性解析対象集団又は適合安全性解析対象集団のいずれかで0.5%以上)は「特定使用成績調査における主な副作用の発現状況」のとおりであり、両集団における副作用発現割合に大きな差はなかった。

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https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999034 (2024/7/5 参照)

特定使用成績調査における主な副作用の発現状況

MedDRA/J version 23.1

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https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999034 (2024/7/5 参照)

重点調査項目

重点調査項目とした副作用について、安全性解析対象集団及び適合安全性解析対象集団における発現状況は表3のとおりであり、両集団における副作用発現割合に大きな差はなかった。承認時までの国内外臨床試験における副作用発現割合1)と比較して、重篤な感染症(帯状疱疹、結核を含む)、リンパ球数減少およびリンパ球減少症、悪性腫瘍(リンパ腫を含む)、消化管穿孔及び間質性肺炎の発現割合は高かった。患者背景等が異なるため結果解釈には注意が必要であるものの、本調査において発現割合が高くなった要因として、投与期間が本調査の3年間に対して国内外臨床試験では6~24カ月間と投与期間の差があった点や、併用薬等の影響も考えられた。各重点調査項目について、副作用発現状況、患者背景別リスク比に関して検討した結果、副作用発現に影響を及ぼす新たなリスク要因は特定されなかった。また重点調査項目のうち、重篤な感染症及び悪性腫瘍について、発現リスクに関して対照群と比較検討を行った結果、対照群と比較して、本剤群の重篤な感染症及び悪性腫瘍の発現リスクが高い傾向2)がみられた。

しかしながら、100人年当たりの重篤な感染症の発現率は、本剤群6.86に対し、他の関節リウマチ薬の製造販売後の調査における発現率は、4.07(トシリズマブ(遺伝子組換え))、8.56(インフリキシマブ(遺伝子組換え))と報告されており、他の製造販売後調査で見られた発現率の範囲内であった。また、悪性腫瘍(リンパ腫を含む)の標準化罹患比[95%信頼区間]は、本剤群1.38[1.16,1.62]であり、これまでに報告されている関節リウマチ患者における悪性腫瘍の標準化罹患比の範囲(0.31~1.52、Arthritis ResTher 2015; 17: 212-221)を超えるものではなかった。なお、承認時までの国内臨床試験の発現割合より高かった重点調査項目については、いずれも添付文書の「使用上の注意」で既に注意喚起をしていることから、新たな対応は不要と考えた。

関節リウマチ患者を対象とした国内外の第Ⅲ相試験5 試験(A3921032 試験、A3921044 試験、A3921045 試験、A3921046 試験、A3921064 試験)及び国内外の長期投与試験2 試験(A3921024 試験、A3921041試験)の7試験を集計した集団における重点調査項目に相当する副作用発現割合は、重篤な感染症(帯状疱疹、結核を含む)1.4%(78/5,657例)、リンパ球数減少及びリンパ球減少症0.5%(30/5,657 例)、悪性腫瘍(リンパ腫を含む)0.5%(26/5,657 例)、消化管穿孔0.2%(10/5,657 例)及び間質性肺炎0.1%(8/5,657 例)であった。適合安全性解析対象集団から予定観察期間が6カ月間の症例を除外した適合比較解析対象集団を対象とした解析の結果。重篤な感染症:本剤群5.55%(207/3,731例)、対照群1.32%(32/2,419 例)/悪性腫瘍(リンパ腫を含む):本剤群3.70%(138/3,731 例)、対照群2.19%(53/2,419 例)。

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重点調査項目とした副作用の発現状況

重点調査項目の定義は別添参照
MedDRA/J version 23.1

なお、死亡リスクに関しても、対照群と比較して本剤群で高い傾向3)がみられた。解析時点で死亡数は少なく評価には限界があるが、本剤群の標準化死亡比[95%信頼区間]は1.02[0.82,1.26]であり、一般的な日本人集団と大きな違いはなかった。

死亡:本剤群2.4%(89/3,731 例)、対照群0.7%(16/2,419 例)

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副作用及び感染症

再審査期間中に収集した副作用4)のうち、再審査申請時点の添付文書の「使用上の注意」から予測できる重篤な副作用は1,208例1,552件、予測できない(以下、「未知の」)重篤な副作用は407例522件、未知の非重篤な副作用は1,053例1,334件であった。なお、感染症報告はなかった。

再審査申請時点における未知の副作用のうち、MedDRA基本語別で総数20件以上の副作用の発現状況は表4のとおりであった。死亡(22例22件)及び表9に記載のない突然死(3例3件)について、死亡直前の患者状態の情報不足や死亡前に感染症や血栓症等の疾患の発症が報告された患者も含まれていること、高齢患者での報告が多い傾向があることから、本剤以外の要因(患者素因、併用薬等)の影響も否定できず、本剤と死亡との関連性は特定できなかった。その他の未知の副作用についても、「使用上の注意」の改訂等の対応を検討した結果、いずれも原疾患、併用薬等の複数の要因が考えられる症例、あるいは情報不足により評価が困難な症例等で、本剤との関連性が明確な症例の集積が認められていないことから、現時点では「使用上の注意」への追記は行わず、今後も同様の情報収集に努めることとした。

副作用の収集対象症例は、関節リウマチを対象とした特定使用成績調査登録症例及びこの登録症例以外で、使用理由が関節リウマチとされた症例(リウマチ性血管炎及びリウマチ性障害と報告された情報も含む)又は使用理由が不明の症例とした。なお、再審査期間は令和3年3月24日までであるが、関節リウマチを対象とした特定使用成績調査から報告された事象に限り令和3 年7 月12 日まで含めた。

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「使用上の注意」から予測できない主な副作用

※同一症例において基本語が同一となる副作用等が複数回発現した場合の「件数」は1 件として集計した
MedDRA/J version 23.1

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有効性

特定使用成績調査における有効性について、安全性の検討と同様、有効性解析対象集団(6,817例)及び適合有効性解析対象集団(4,455例、「適合」の定義は4.1.1項参照)の2つの集団にて検討した。各集団におけるSDAI5)及びDAS28-ESR6)の測定値及びその変化量の推移は表5及び表6のとおりであった。両指標とも、投与開始12カ月後まで経時的に低下し、その後は、微減若しくはほぼ一定で推移し、長期投与によっても有効性の減弱は認められなかった。承認時までの国内臨床試験ではACR改善率7)を指標としているため、直接比較は困難なものの、本調査において、いずれの集団でもSDAI及びDAS28-ESRの両指標における改善が認められたことから、本剤の有効性に特段の問題はないと判断した。

Simplified Disease Activity Index の略で、SDAI=28 関節の圧痛関節数(TJC)+腫脹関節数(SJC)+患者による全般的評価( 視覚アナログ尺度、以下「VAS」)+医師による全般的評価(VAS)+C 反応性蛋白(CRPmg/dl) により算出する。DAS はDisease Activity Score(疾患活動性スコア)の略で、DAS28-ESR=0.56×√(TJC)+0.28×√(SJC)+0.7×ln( 赤血球沈降速度(ESR))+0.014×患者の疾患活動性評価(VAS) により算出。米国リウマチ学会(ACR)提唱の臨床評価法であり、疼痛関節数、腫脹関節数、及び以下の5項目中3項目における20%以上、50%以上又は70%以上の改善した症例割合をそれぞれ、ACR20、ACR50、ACR70 とする。a 医師による疾患活動性評価(VAS) b 患者による疾患活動性評価(VAS) c 患者による疼痛度評価(VAS) d 患者による身体機能評価(健康状態評価質問票)   e CRP

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SDAI値及びその変化量の推移(有効性解析対象集団)SDAI 値の推移(有効性解析対象集団) SDAI 値変化量の推移(有効性解析対象集団) ※開始時以外は, 投与開始と各時点の両方の測定値がある症例を対象とした。

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SDAI値及びその変化量の推移(適合有効性解析対象集団)SDAI 値の推移(適合有効性解析対象集団) SDAI 値変化量の推移(適合有効性解析対象集団) ※開始時以外は, 投与開始と各時点の両方の測定値がある症例を対象とした。

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https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999034 (2024/7/5 参照)

DAS28-ESR値及びその変化量の推移(有効性解析対象集団)DAS28-ESR 値の推移(有効性解析対象集団) DAS28-ESR 値変化量の推移(有効性解析対象集団) ※開始時以外は, 投与開始と各時点の両方の測定値がある症例を対象とした。

ゼルヤンツ錠5mg 再審査報告書   独立行政法人医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999034 (2024/7/5 参照)

DAS28-ESR値及びその変化量の推移(適合有効性解析対象集団)DAS28-ESR 値の推移(適合有効性解析対象集団) DAS28-ESR 値変化量の推移(適合有効性解析対象集団) ※開始時以外は, 投与開始と各時点の両方の測定値がある症例を対象とした。

ゼルヤンツ錠5mg 再審査報告書   独立行政法人医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999034 (2024/7/5 参照)

措置報告及び研究報告

国内において、再審査期間中に緊急安全性情報の配布、本剤の回収、出荷停止等の重大な措置は実施していない。

再審査期間中に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「機構」)に報告した外国の措置報告は26件、研究報告は2件であった。その概要は表7のとおりであり、情報入手時点で添付文書改訂の要否等に係る検討を行った。措置報告の⑧について、再審査期間満了後に入手した企業中核データシート(以下、「CCDS」)改訂情報(心血管系事象リスク因子を有する50歳以上の関節リウマチ患者を対象に実施されたA3921133試験結果の最終解析結果から、主要評価項目である主要な心血管系事象及び悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率について、腫瘍壊死因子(以下、「TNF」)阻害剤群に対するトファチニブ群の非劣性が検証されなかったこと、並びに心血管系事象及び悪性腫瘍ともに、TNF阻害剤に比較し本剤で発現リスクが高い傾向が示唆されたこと)を元に、再審査申請後の令和3年10月に、本剤の「使用上の注意」の重大な副作用に心血管系事象及び悪性腫瘍を追記するとともに、これらに関連する他の項目(警告、効能又は効果に関連する注意、重要な基本的注意、特定の背景を有する患者に関する注意、その他の注意及び臨床成績の項)を修正し、さらなる注意喚起を行った。なお、現時点で対応中の事案はない。

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措置報告及び研究報告の概要

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機構の評価

機構は、以上の製造販売後調査等の結果及び申請者の検討結果等を踏まえ、現時点で新たな対応の必要はないと判断した。

また、関節リウマチに係わる承認条件(2)については、適切な製造販売後調査が実施され、本剤の安全性について十分に検討され、感染症等の発現を含めた長期投与時の安全性及び有効性について検討されたことから、承認条件は満たされたものと判断した。

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調査の限界本調査はゼルヤンツの安全性ならびに有効性を3年間観察した製造販売後調査である。再審査報告書はRegulatory scienceであり、科学的妥当性は保証されている一方、製造販売後調査でありバイアスも多く、確度において限界のあるデータである。死亡リスクに関し、解析時点で死亡数は少なく評価には限界があった。副作用の対象症例は、関節リウマチを対象とした特定使用成績調査登録症例及び再審査期間中に収集した副作用登録症例以外で使用理由が関節リウマチとされた症例(リウマチ性血管炎及びリウマチ性障害と報告された情報も含む)又は使用理由が不明の症例とされた。関節リウマチを対象とした特定使用成績調査から報告された事象に限り令和3年7月12日まで含めていた。

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本邦におけるMTXの承認用量(関節リウマチ):
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、1週間単位の投与量を1回又は2〜3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減するが、1週間単位の投与量として16mgを超えないようにする。

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ゼルヤンツの長期投与試験(1041試験) / 日本のリアルワールドエビデンス(生物学的製剤及びゼルヤンツの長期治療継続率)
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2024年9月作成 XEL39O016A
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