高齢者の左室駆出率が保たれた心不全（HFpEF）を呈する
心アミロイドーシスでは、アミロイドが心筋に沈着することで心室壁が徐々に硬直し心室拡張が妨げられます。したがって、拡張不全を主体として心不全を呈し、駆出率の保たれた心不全（HFpEF）に多く潜在している可能性があります1）。
- 入院中のHFpEF患者の13.3％に野生型ATTR-CMが含まれているとの報告がある（図）2）。
対象：HFpEF（左室駆出率≧50%）かつ、左室壁肥厚（≧12mm）を有する60歳以上の入院患者
方法：前向きに登録した患者の99mTc-DPDシンチグラフィ心筋取り込み陽性をATTR-CMと確定診断した。また、全陽性例に対しTTR遺伝子検査を実施した。
解析方法：正規分布に従った変数は平均と標準偏差で示した。
試験の限界：野生型ATTR-CMを組織学的に確認した症例は限られていた。HFpEFの判定には欧州心臓病学会（ESC）の基準を用いており、野生型ATTR-CMの患者数が米国心臓病学会（ACC）の基準を用いた場合と大きく異なる可能性がある。また、心不全患者における99mTc-DPDシンチグラフィの診断精度は未だ確立されておらず、野生型ATTR-CMの患者数が過小評価された可能性がある。本研究ではALアミロイドーシス、ApoA1アミロイドーシスの患者は完全に除外されなかった可能性がある。本研究は単一施設研究であり、研究プロトコル・デザインに限界があったため紹介バイアスおよび生存バイアスが生じた可能性がある。
González-López, E. et al.：Eur Heart J 36（38）：2585, 2015より作図
本試験はファイザー社の資金提供により実施された試験である。
著者にファイザー社より講演料、コンサルト費用を受領した者が含まれる。
ACE阻害薬やβ遮断薬などの標準的な心不全治療薬に対する抵抗性を示す1）
治療抵抗性を呈する心不全では、その病因のひとつとして心アミロイドーシスの可能性を一考すべきです。
トランスサイレチン型心アミロイドーシスが疑われたら、認定施設までご相談ください。
臨床徴候や検査所見などからトランスサイレチン型心アミロイドーシスが疑われる、あるいはトランスサイレチン型心アミロイドーシスの可能性が否定できない場合は、生検および染色などの専門的な診断が必要となります。日本循環器学会の認定施設への紹介をご検討ください。
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本試験はファイザー社の資金提供により実施された試験である。
著者にファイザー社より講演料、コンサルト費用を受領した者が含まれる。