監修:福井大学 医学部 分子病理学
教授 内木 宏延 先生
生検組織染色でアミロイド沈着が認められたら、心アミロイドーシスであることが確定します。アミロイド沈着の有無はコンゴーレッド染色により確認します。ここでは生検組織染色画像の見方やコンゴーレッド染色についてご紹介します。
病理学的に、アミロイドは組織生検でコンゴーレッド染色陽性、かつ偏光顕微鏡下にアップルグリーン色の複屈折を呈します1)。アミロイドは、前駆蛋白質が異常な立体構造を得て規則的に重合した、βシート構造に富む不溶性線維です2)。 心アミロイドーシスの確定診断は、生検標本中のアミロイド沈着を検出することにより行われます1)。
アミロイド沈着は、病理学的定義に基づき、コンゴーレッド染色した生検標本を光学顕微鏡および偏光顕微鏡下で観察して確認します。また、グルタルアルデヒド固定した生検標本を用いて、電子顕微鏡下でアミロイドを確認することもできます。
①【光学顕微鏡】コンゴーレッド染色で赤橙色(サーモンピンク)に染まる
アミロイド線維のひだ状βシート構造の溝(線維の長軸に平行)にコンゴーレッド分子がはまり込むことにより、赤橙色を呈します3)。アミロイドの前駆蛋白質により染色性が異なります。
②【偏光顕微鏡】緑色~黄色の複屈折を示す
偏光顕微鏡では、2枚のニコル(偏光板)を直交させると、視野は暗黒となります。この2枚のニコルの間にコンゴーレッド染色された生検標本を置くと、アミロイド線維はアップルグリーン色の複屈折を呈します。ニコル角をずらすと黄色と緑色の複屈折を呈し、反対側にずらすと黄色と緑色の部分が入れ替わります。
アミロイドの前駆蛋白質により、複屈折の強さが異なります。一般にATTR-CMではALアミロイドーシスよりもコンゴーレッドの染色性および複屈折が弱く観察されます。
また、複屈折の色彩の濃さの違いから、アミロイドと膠原線維の識別が可能です。
図:コンゴーレッド染色におけるアミロイド(心筋組織)
画像提供:福井大学 医学部 分子病理学 教授 内木 宏延 先生
③【電子顕微鏡】幅約10nmの線維が錯綜して存在する
電子顕微鏡観察では、グルタルアルデヒド固定された生検標本を用います。アミロイド線維は、幅約10nmの緩やかならせん構造を持った針状細線維として観察されます。
図:電子顕微鏡下のアミロイド(マウスの肝臓から精製)
画像提供:福井大学 医学部 分子病理学 教授 内木 宏延 先生
偽陰性を回避するために、以下の点に注意してください。
作りたてのコンゴーレッド染色液を使用する
作り置きのコンゴーレッド染色液では、コンゴーレッド分子が重合してしまい、アミロイド線維に結合できなくなることがあります。
Positive controlを使用する
生検組織にアミロイドが沈着しているにもかかわらず、染色の失敗により陰性と判定されるのを防ぐために、必ずPositive controlの染色も行ってください。
ビンダケル®の効能又は効果
4.効能又は効果
ビンマック®の効能又は効果
4.効能又は効果
トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
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