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警告・禁忌を含む注意事項等情報は最新のDI情報をご参照ください。
一部承認内容と異なる用法及び用量を含んだ試験成績又は解析結果が含まれていますが、ここに記載されている試験は承認時評価資料及びその長期フォローアップデータのために記載します。
開催日 2024年8月20日
会場 東日本橋スタジオ
日本赤十字社医療センター 血液内科(骨髄腫アミロイドーシスセンター)
血液内科部長/骨髄腫アミロイドーシスセンター長
石田 禎夫 先生
再発又は難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者は多剤による治療を重ねている例も多く1)、キードラッグとして用いられている免疫調節薬(IMiD)、プロテアソーム阻害剤(PI)及び抗CD38モノクローナル抗体製剤(抗CD38抗体)による治療を受けたTriple-Class Exposed(TCE)のRRMM患者の予後は不良であることが報告されている2)。エルレフィオは、IMiD、PI及び抗CD38抗体のそれぞれ少なくとも1剤による治療歴のあるRRMM注)患者を対象として実施した臨床試験3)に基づき承認された。本講演では、RRMMの治療戦略とエルレフィオの位置づけ、RRMM患者におけるエルレフィオの有効性と安全性、留意すべき症例について、ご講演いただいた。
注)エルレフィオの効能又は効果は、再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)です。
『造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版』(以下、同ガイドライン)のアルゴリズムにおいて、移植適応の多発性骨髄腫(MM)患者に対しては、BLD療法[ボルテゾミブ(BOR)、レナリドミド(LEN)、デキサメタゾン(DEX)]、移植非適応患者に対しては、DLd療法[ダラツムマブ(DARA)、LEN、低用量DEX]、D-MPB療法[DARA、メルファラン(MEL)、プレドニゾロン(PSL)、BOR]が推奨されています4)。再発・難治性骨髄腫に対しては、同ガイドラインのアルゴリズム(図1)4)において、自家移植後の再発・再燃骨髄腫で奏効期間18ヵ月未満であった場合、及び移植非適応の再発・再燃骨髄腫で奏効期間9~12ヵ月未満であった場合の救援療法として、LEN及びBORに抵抗性を示す症例に対しては、DKd療法[DARA、カルフィルゾミブ(CFZ)、低用量DEX]、DPd療法[DARA、ポマリドミド(POM)、低用量DEX]、ISA-Kd療法[イサツキシマブ(ISA)、CFZ、低用量DEX]、ISA-Pd療法(ISA、POM、低用量DEX)などが推奨されています4)。
ADC(antibody-drug conjugate):抗体薬物複合体、BiTE(bispecific T-cell engager):二重特異性T細胞誘導
注意)パノビノスタットは2024年4月に販売中止に至った。
日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版,p.392,金原出版,2023.
IMiD、PI、抗CD38抗体の3つのクラスの薬剤による治療を完了したTCEのRRMM患者さんの予後は不良であることが報告されています2)。海外からの報告では、抗CD38抗体に対して治療抵抗性を示した患者において、IMiD、PIを含む3剤及び4剤に治療抵抗性の患者さんの全生存期間(OS)中央値は9.2ヵ月であり、5剤治療抵抗性の患者さんでは5.6ヵ月でした(図2)5)。
Gandhi UH, et al.:Leukemia 33(9):2266, 2019(PMID:30858549)
(著者にファイザー社より研究支援等を受領している者が含まれる)
国内では、医療記録データベースを用いてTCEの日本人RRMM患者の予後を調査した結果、OS中央値は15.8ヵ月※1、このうち幹細胞移植(SCT)非施行群では17.4ヵ月※1であることが示されました(図3)6)。
※1:TCE後の最初の治療を開始した時点からのOS中央値
Iida S, et al.:Future Oncol. 2022 Nov 4. doi: 10.2217/fon-2022-0846. Online ahead of print.(PMID:36331578)
(著者にファイザー社より研究支援を受けている者が含まれる)
そのような状況下で、3次治療において、キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法に加え、2024年5月22日、多発性骨髄腫治療薬で初となる抗B細胞成熟抗原(BCMA)/CD3二重特異性抗体のエルレフィオが、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」の適応で薬価基準に収載され、使用可能となりました。二重特異性抗体は、同ガイドラインのアルゴリズムにおいても、再発・難治性多発性骨髄腫の治療の選択肢の1つに位置づけられています4)。
エルレフィオは、IMiD、PI及び抗CD38抗体のそれぞれ少なくとも1剤に対して治療抵抗性を示す(前治療のレジメン数を問わない)RRMM患者を対象とした国際共同第Ⅱ相試験であるMagnetisMM-3試験において、単剤投与したときの有効性及び安全性が検討されています3)。主な選択基準としてクレアチニンクリアランス(CrCL)≧30mL/min、絶対好中球数≧1 . 0×1 09 / L 、血小板数≧25×109/Lなどが設定され、抗BCMA二重特異性抗体の投与歴がある患者は除外されていました3)。
本試験では、BCMAを標的とした治療がエルレフィオの単剤投与の効果に及ぼす影響を検討するため、BCMA標的治療歴の有無別の2つの独立した並行コホートが設定されていました3)。このうち、BCMA標的治療歴のないRRMM患者を対象としたコホートAでは、患者背景として髄外病変(EMD)ありが31.7%、前治療ライン数中央値5、トリプルクラス治療抵抗性(TCR)96.7%であり3)、heavy treatmentの集団であったと考えられます。コホートAでの独立中央判定(BICR)評価による奏効率(ORR)は61.0%であり、そのうち最良部分奏効(VGPR)以上は55.3%でした3)。また完全奏効(CR)以上は27.6%でした(図4)3)。本試験の承認時のデータカットオフ時点での無増悪生存期間(PFS)中央値は未到達(95%信頼区間:10.4ヵ月-NE)、OS中央値も未到達(95%信頼区間:NE-NE)でしたが、最新の長期フォローアップにおけるPFS中央値は17.2ヵ月(95%信頼区間:9.8ヵ月-NE)、OS中央値は24.6ヵ月(95%信頼区間:13.4ヵ月-NE)でした(図5、6)8)。これらの結果は、エルレフィオの有効性を評価するうえで興味深い結果だと考えています。安全性に関しては、主な副作用としてサイトカイン放出症候群(CRS)(57.9%)、好中球減少症(36.1%)、貧血(26.8%)などが認められました(表1、2)3,8)。特にCRSに関しては、その発現率からも、適切な対応が求められると考えられます。
安定(SD)は17.1%、疾患進行(PD)は17.9%、推定不能(NE)は4.1%であった。
抗腫瘍効果の評価は国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)規準7)に基づく。
*Clopper-Pearson法
**完全奏効率(CRR:sCR+CR)(副次評価項目)
(データカットオフ日:2022年10月14日)
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(承認時評価資料)
(データカットオフ日:2024年3月26日)
Tomasson MH, et al.:Hemasphere 8(7):e136, 2024(PMID:39055646)
(著者にファイザー社より研究支援等を受領している者が含まれる)
(データカットオフ日:2024年3月26日)
Tomasson MH, et al.:Hemasphere 8(7):e136, 2024(PMID:39055646)
(著者にファイザー社より研究支援等を受領している者が含まれる)
一般に治療は長期にわたって行われることから、エルレフィオの臨床試験における長期の有効性・安全性データをお示しします。
エルレフィオは、IMiD、PI及び抗CD38抗体のそれぞれ少なくとも1剤に対して治療抵抗性を示す(前治療のレジメン数を問わない)RRMM患者を対象とした国際共同第Ⅱ相試験であるMagnetisMM-3試験において、単剤投与したときの有効性及び安全性が検討されています3)。主な選択基準としてクレアチニンクリアランス(CrCL)≧30mL/min、絶対好中球数≧1.0×109/L、血小板数≧25×109/Lなどが設定され、抗BCMA二重特異性抗体の投与歴がある患者は除外されていました3)。
本試験では、BCMAを標的とした治療がエルレフィオの単剤投与の効果に及ぼす影響を検討するため、BCMA標的治療歴の有無別の2つの独立した並行コホートが設定されていました3)。このうち、BCMA標的治療歴のないRRMM患者を対象としたコホートAでは、患者背景として髄外病変(EMD)ありが31.7%、前治療ライン数中央値5、トリプルクラス治療抵抗性(TCR)96.7%であり3)、heavy treatmentの集団であったと考えられます。主要評価項目であるコホートAでの独立中央判定(BICR)評価による奏効率(ORR)は61.0%であり、そのうち最良部分奏効(VGPR)以上は55.3%でした3)。また完全奏効(CR)以上は27.6%でした(図4)3)。本試験の承認時のデータカットオフ時点において、副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値は未到達(95%信頼区間:10.4ヵ月-NE)、OS中央値も未到達(95%信頼区間:NE-NE)でしたが、最新の長期フォローアップにおけるPFS中央値は17.2ヵ月(95%信頼区間:9.8ヵ月-NE)、OS中央値は24.6ヵ月(95%信頼区間:13.4ヵ月-NE)でした(図5、6)8)。これらの結果は、エルレフィオの有効性を評価するうえで興味深い結果だと考えています。安全性に関しては、主な副作用としてサイトカイン放出症候群(CRS)(57.9%)、好中球減少症(36.1%)、貧血(26.8%)などが認められました(表1、2)3,8)。特にCRSに関しては、その発現率からも、適切な対応が求められると考えられます。
安定(SD)は17.1%、疾患進行(PD)は17.9%、推定不能(NE)は4.1%であった。
抗腫瘍効果の評価は国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)規準7)に基づく。
*Clopper-Pearson法
**完全奏効率(CRR:sCR+CR)(副次評価項目)
(データカットオフ日:2022年10月14日)
社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(C1071003試験)(承認時評価資料)
(データカットオフ日:2024年3月26日)
Tomasson MH, et al.:Hemasphere 8(7):e136, 2024(PMID:39055646)
(著者にファイザー社より研究支援等を受領している者が含まれる)
(データカットオフ日:2024年3月26日)
Tomasson MH, et al.:Hemasphere 8(7):e136, 2024(PMID:39055646)
(著者にファイザー社より研究支援等を受領している者が含まれる)
GradeはNCI-CTCAE Version 5.0に準じる。CRSのGradeはASTCT 20199)に準じて評価した。
(データカットオフ日:2022年10月14日)
183例※2中167例(91.3%)に副作用が認められ、その主な副作用はCRS106例(57.9%)、好中球減少症66例(36.1%)、貧血49例(26.8%)、リンパ球減少症43例(23.5%)、注射部位反応39例(21.3%)等でした。
重篤な副作用は183例中54例(29.5%)に認められ、内訳はCRS23例(12.6%)、肺炎6例(3.3%)、貧血5例(2.7%)、発熱性好中球減少症4例(2.2%)、発熱、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎各3例(1.6%)、好中球減少症、血小板減少症、副鼻腔炎、細菌性肺炎、腎盂腎炎、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)各2例(1.1%)、純赤血球無形成、狭心症、急性心不全、めまい、出血性下痢、注射部位反応、低γグロブリン血症、蜂巣炎、敗血症、サイトメガロウイルス感染再燃、器具関連菌血症、大腸菌尿路感染症、ヘルペスウイルス感染症、クレブシエラ性敗血症、パルボウイルスB19感染、サイトメガロウイルス性肺炎、シュードモナス性肺炎、ウイルス性肺炎、敗血症性ショック、ブドウ球菌性菌血症、ブドウ球菌性敗血症、溶連菌性敗血症、成長障害、低カリウム血症、腫瘍崩壊症候群、関節痛、骨痛、筋炎、リウマチ性多発筋痛、サルコペニア、運動失調、ギラン・バレー症候群、錯乱状態、急性腎障害、呼吸困難、低酸素症、肺臓炎が各1例(0.5%)でした。
死亡に至った副作用はシュードモナス性肺炎、成長障害、敗血症性ショック各1例(0.5%)でした。
投与中止に至った副作用は15例(8.2%)であり、内訳はICANS2例(1.1%)、好中球減少症、血小板減少症、発熱性好中球減少症、CRS、サイトメガロウイルス感染再燃、クレブシエラ性敗血症、サイトメガロウイルス性肺炎、シュードモナス性肺炎、敗血症、敗血症性ショック、血中アルカリホスファターゼ増加、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、筋肉減少症、ギラン・バレー症候群、末梢性運動ニューロパチー、末梢性感覚運動ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、多発ニューロパチー、呼吸困難、気道の炎症が各1例(0.5%)でした。
死亡に至った有害事象
●感染8例(6.5%)
重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、(感染を除く)死亡に至った有害事象
●現時点で非公開情報のため掲載しておらず、文献中にも記載されていない。
本試験の主要評価項目である奏効率(ORR)は、治験実施計画書で規定された最終解析である2022年6月17日時点でコホートA[BCMA標的治療歴なし]は61.0%(95%信頼区間:51.8-69.6)であり、帰無仮説(閾値ORR 30%以下)に対して統計的に有意だった(p<0.0001、片側正確二項検定)♯。また、コホートB[BCMA標的治療歴あり]は29.7%(95%信頼区間:18.9-42.4)であり、帰無仮説(閾値ORR 15%以下)に対して統計的に有意だった(p=0.0021、片側正確二項検定)♯。いずれのコホートに関しても帰無仮説が棄却され、真のORRが閾値ORRを上回ることが示された。
本試験の主要評価項目であるORR及びその他の有効性の結果並びに安全性の結果について、ORRの最終解析時より長い追跡データである承認申請時の結果[最後の患者の初回投与から9ヵ月以上経過した時点(データカットオフ日:2022年10月14日)]を示す。本試験は継続中である。追跡期間の中央値はデータカットオフ時点(2022年10月14日)で、コホートA[BCMA標的治療歴なし]で10.38ヵ月(範囲:0.23-20.14ヵ月)、コホートB[BCMA標的治療歴あり]で9.22ヵ月(範囲:0.33-12.32ヵ月)であった。
♯本試験は、統計的に第1種の過誤、第2種の過誤を制御した解析として計画されたが、同時対照群の比較試験でないため、検定結果は検証的なものではない。
目的:
IMiD、PI及び抗CD38抗体のそれぞれ少なくとも1剤に対して治療抵抗性を示すRRMM患者を対象として、エルレフィオを単剤投与したときの有効性及び安全性を検討する。
試験デザイン:
非無作為化、非盲検、多施設国際共同、第Ⅱ相試験
対象:
BCMAを標的とした治療がエルレフィオ単剤投与の効果に及ぼす影響を検討するため、2つの独立した並行コホートを設定した。
試験方法:
エルレフィオを1日目に12mg、4日目に32mgを1日1回皮下投与し、8日目以降は4週間を1サイクルとして1日1回76mg(標準用量)を1週間間隔で皮下投与した。ステップアップ用量及び初回の標準用量の投与約60分前に前投与[アセトアミノフェン650mg(又はparacetamol※4 500mg)を経口、デキサメタゾン20mg(又は相当量)を経口又は静注及びジフェンヒドラミン25mg(又は相当量)を経口又は静注]を必須とした。少なくとも24週間(6サイクル)投与継続後に部分奏効(PR)以上の効果が2ヵ月以上持続している場合、投与間隔を2週間間隔に変更した。投与間隔を2週間間隔に変更後に腫瘍量の増加(IMWG規準に従ってPDと判定するには至らない増加)が認められた場合は、投与間隔を1週間間隔に戻すこととした。エルレフィオの投与はPDの確定、許容できない毒性の発現、同意の撤回又は試験終了まで行うこととした。なお、プロトコルに2段階のステップアップ用量を導入する前にコホートAに組み入れられた最初の4例は、初回に44mg、8日目から76mgの週1回投与を受けた。
評価項目:
[有効性]
主要評価項目<コホートA及びコホートB>:BICR評価によるIMWG規準に従ったORR(sCR+CR+VGPR+PR)
重要な副次評価項目<コホートAのみ>:ベースライン時のEMDの有無別のBICR評価によるIMWG規準に従ったORR
副次評価項目<コホートA及びコホートB>:IMWG規準に従ったMRD陰性率、BICR評価によるIMWG規準に従ったPFS、OS、IMWG規準に従ったCRRなど
[安全性]
有害事象をNCI-CTCAE Version 5.0を用いて評価し、CRS及びICANSのGradeはASTCT 20199)に準じて評価した。
有効性評価及び安全性評価※5は治験薬の投与を少なくとも1回受けたすべての治験参加者187例を対象に行った。
解析計画:
●コホートA及びコホートBの目標症例数は、正確二項分布に基づく2段階デザインを用いて、2つのコホートで別々に主要評価項目であるORR(BICR評価)に関する統計学的仮説を検定したとき十分な検出力が得られるように設定した。
●主要評価項目であるORR(BICR評価)の各コホートの最終解析は、すべての対象症例がベースライン以降に少なくとも2回奏効評価を行った時点、又は投与開始後2ヵ月以内に奏効評価を中止した時点で実施することとした。
●主要評価項目であるORR(BICR評価)はClopper-Pearson法により両側95%信頼区間を算出し、コホートAでは、閾値ORR30%以下となる帰無仮説に対する片側p値、コホートBでは、閾値ORR15%以下となる帰無仮説に対する片側p値を算出した。さらにVGPR以上(sCR+CR+VGPR)を算出し、Clopper-Pearson法により両側正確95%信頼区間を算出した。
●コホートAでORR(BICR評価)の帰無仮説が棄却された場合、重要な副次評価項目である、ベースライン時にEMDのない対象症例でのORR(BICR評価)を38%以下とした帰無仮説に対して、ゲートキーピング法を用いて片側有意水準0.025で階層的に検定することとした。コホートAのベースライン時にEMDのない対象症例でORR(BICR評価)の帰無仮説が棄却された場合、重要な副次評価項目である、ベースライン時にEMDを有する対象症例でのORR(BICR評価)を12%以下とした帰無仮説に対して、ゲートキーピング法を用いて片側有意水準0.025で正確二項検定を用い、階層的に検定することとした。
●主要評価項目であるコホートAのORR(BICR評価)は中間解析を実施するため、主要評価項目の片側有意水準0.025は最終解析時点では0.0202となっている。
●副次評価項目であるPFS、OS(BICR評価)はKaplan-Meier法を用い、3、6、9、12ヵ月時点(以降6ヵ月毎)の奏効持続確率及び3、6、9、12、15、18、24ヵ月時点(以降12ヵ月毎)のイベントフリー確率を対応する両側95%信頼区間とともに推定した。
●副次評価項目であるCRRはCR以上(sCR+CR)を算出し、Clopper-Pearson法により両側正確95%信頼区間を算出した(EMD有無別の評価も含む)。
●ベースライン時のEMD有無別、R-ISS、5剤の治療に対する抵抗性の有無別のORR(BICR評価)について、サブグループ解析を事前に規定した。
●試験参加者は登録から少なくとも2年間追跡されることとした。追跡調査は生存状態を確認し、新たな抗癌剤治療、有害事象、避妊チェックを含む情報を収集するために治験薬の最終投与から3ヵ月ごとに実施されることが事前規定されていた。
症例1:
60代、女性、IgG-κ、R-ISS-Ⅱ、トリプルヒット(del-17p, t(4;14), 1q-amp)
治療経過:
202X年に診断を受け、BLd療法(BOR、LEN、低用量DEX)を3コース実施、SDとなった。その後、DBd療法(DARA、BOR、低用量DEX)を2コース実施、PDが確認された。ISA-Pd療法を4コース実施、再度PDが確認された。202X+1年に当科を受診。診察時には、DARA、BOR、ISA、POM、CFZに対して不応性を示し、5剤治療抵抗性と判断された。
本症例はDKd療法を実施しPDが確認された後、CAR-T細胞療法を実施するためアフェレーシスを行ったものの、製造不良となり、エルレフィオを導入しました。CAR-T細胞が製造不良となったことから、T細胞の疲弊が考えられたため、エルレフィオを使用してもCRSなどの強い反応は起きないことを予想していました。しかし、エルレフィオ初回投与後に40℃近い発熱がみられ、トシリズマブ投与で改善しましたが、2回目の投与後も38℃前後の熱は続きましたが、免疫エフェクター細胞関連脳症(ICE)スコアは10点でした(図7)。
その翌日、患者は頭痛や嘔吐を訴え、顔面・眼球の浮腫が著明となり、不穏状態が強く、書字不能となりました。また、西暦を答えられず、Grade 3のICANSと判定されました。その後はICUに移送され、意思疎通ができなくなり、ICANSのテストも行えない状態に至り、Grade 4と判定。ステロイドパルス療法が奏効し、グリセロールも併用することで、1日で回復し、ICEスコアは10点となりました。MagnetisMM-3試験では、Grade 3以上のCRSは0.5%、ICANSは1.1%で認められており3)、重篤なCRSやICANSが発現する可能性があることに注意が必要です。
症例2:
60代、女性、IgG-κ、ISS-Ⅱ、二重特異性抗体 治療開始時の微小残存病変(MRD)<10-5
治療経過:
202X-7年に診断を受け、BCD療法[BOR、シクロホスファミド(CPA)、DEX]を9コース実施、厳格な完全奏効(sCR)を達成した。その後、IXA-Ld療法[イキサゾミブ(IXA)、LEN、低用量DEX]を23コース実施、PDが確認されたためMMの治験(本邦未承認)に参加し、2コース実施後、PDが認められた。続いてPOMベース療法を4コース実施、VGPRを達成した。その後、DLd療法を15コース実施、PDとなり、次にKd療法(CFZ、低用量DEX)を1コース実施、再度PDが確認されたため、多剤併用化学療法を3コース実施。その後、ISA-Pd療法を4コース実施、PDが認められたため、DKd療法を実施し、この際にサイトメガロウイルス抗原血症が認められた。その後、BCD療法を6コース実施、PDが継続し、当科に紹介された。
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
本症例は、さまざまな治療でPDとなり、当科に紹介されました。エルレフィオ投与を開始後、2ヵ月程度はM蛋白の減少が認められませんでしたが、その後、減少に転じました(図8)。MagnetisMM-3試験における奏効までの期間(TTR)中央値は1.22ヵ月(範囲:0.89-7.36ヵ月)ですが3)、本症例のように奏効までに時間を要する症例もあるため、1~2ヵ月の投与で減少が認められない場合でも、副作用が休薬又は中止基準(電子添文7.3参照)に該当しなければ症状や腎機能なども併せて確認しながら継続するのが良いと考えています。
有害事象に対する対処法としては、電子添文や適正使用ガイド等を参考に適切な処置を行うとともに、医療施設の方針に従った処置も検討してください。
4. 効能又は効果
再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)
5. 効能又は効果に関連する注意
5.1 本剤による治療は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。[17.1.1 参照]
5.2 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1 参照]
6. 用法及び用量
通常、成人にはエルラナタマブ(遺伝子組換え)として、1日目に12mg、4日目に32mgを1回皮下投与する。8日目以降は1回76mgを1週間間隔で皮下投与する。なお、24週間以上投与し、奏効が認められている場合は、投与間隔を2週間間隔とすること。
エルレフィオの製品情報(電子添文等)はこちら
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